2013ssはデザインする前に、今までのCOVERのモノ作りについて振り返るところから始まりました。
「シンプルで一癖あるデザイン」を軸にこれまで製作してきたこと、
服があって女性があるわけではなく、女性があって服があるという考え方、
沖縄にいて沖縄らしくない服作り。
特に沖縄にいて沖縄らしくない服作りをしている事について、以前から色んなご指摘を頂いてきました。
沖縄らしさを取り入れること、いや、その前にそもそも「沖縄らしさ」って何だろう?、
そんな疑問を純粋に考え直してみるところからデザインがスタートしました。
以前blog(2013年3月18日)でも書いたのですが、今回デザインするにあたってそこで出逢えた新しい感覚がありました。
目に見える沖縄ではなく、そこに住んでいて、そこの空気を吸いながらデザインしている服、
それが自然にデザインに反映されているんじゃないかと。
おそらく僕が東京に居続けていたら、今の服のデザインはなかったと思っています。
心を落ち着けて地に足をつけながら、デザインする服は自然とその空気感が含まれている。
それが現在のCOVERの服だと思います。
シンプルであるからこそ試されるデザイン感覚がCOVERの服には盛り込まれています。
特にその中でもこだわっているのが、COVERの商品の軸となるパターン(洋服を作る上で重要な型紙)。
1stからこれまで全てオリジナルであること。
全て一からトワルを組み、立体裁断をしながら手間暇をかけてパターンを作っています。
想像力と技術、体力を要し、時間をかけてやっとの想いで出来上がります。
今回のcollectionもそういった点でシルエットとデティールを何度も吟味し、
形にしていきました。
これまでのcollectionにおいても、COVERは女性があって服があるという考え方が軸にあるため、
collectionテーマを設けずに服作りを行ってきました。いつも「こういうニュアンスで今回は作りたいな」、
と女性をイメージして作る方法とテーマを設けて作っていく事にどうしても自分の中でギャップがあり、
型にはめてまでテーマを設けることをしていません。
ただ昨年ssで一度だけ、テーマを設けた事がありましたが、基本的にやっていることは同じで、
女性があって服があるというスタンスは変わっていません。
今回のcollectionで自分が拘ったのは都会的な要素のある「ミニマル」な部分。
ただのシンプルという意味ではなく、既に存在する物事に疑問をもってみる。
例えば、生地の裏表ってありますよね。でもその基準って本当は特になくて、ただ使い手が綺麗な方がこの面だから表にして使いたいとか、生地メーカーがここが表として作ったからとか、曖昧なんです。
今回はこの面が表だから表にして使わなきゃいけないっていう固定概念を外して、服としての良さが出るように生地も使用して製作しました。
今回もそうですが、COVERではいつも素材も縫製もカラーも服に関わるものはトータルでデザインとして考えています。
未だまだやれる部分とそうでない部分とありますが、クオリティが高くて沢山のお客様に満足してもらえるようなブランドになりたいと思っています。
issei